
Meet Arty
日々の気持ちを、南国の風景に重ねて
カナダのバンクーバーを拠点に活動するアーティスト、イラストレーター。踊る女性やトラ、果物、南国の風景を、桃色やオレンジ、深い緑などで描く作品が特徴です。壁画やテキスタイル、出版など、さまざまな分野で活動しています。
Arty Guava(アーティー・グアバ)の名前で活動するLay Hoon Ho(レイフン・ホー)は、マレーシアのペナン島で生まれ育ちました。さまざまな民族の友人に囲まれ、宗教や文化の異なるお祭りを楽しんだ子ども時代。活動名は、好きなアートとグアバを組み合わせて、夫が名付けたものです。
絵を描く仕事にたどり着くまで

子どものころから絵が好きで、10歳ごろから約5年間、絵を習っていたレイフン。その後はシンガポールの大学で生物工学を学びましたが、卒業が近づくにつれ、エンジニアリングは自分に合わないと感じるようになります。
卒業後、夜間の講座でマルチメディアデザインを学び、デザインの仕事へ。シンガポールでブランドのイメージづくりやパッケージデザインに携わりました。イラストを描いて生計を立てる人がいると知ったことも、しばらく離れていた絵を再び描き始めるきっかけになりました。
家族とバンクーバーに移ってからは、雨の多い気候や新しい環境への戸惑い、ホームシックを経験しました。そこに感染症の流行が重なり、気持ちを落ち着けるため、毎晩息子を寝かせたあとにiPadで描くようになります。自分のために描いた絵をSNSで発表し続けるうち、半年ほどで初めての依頼が届きました。現在は、アーティストとして制作に専念しています。
いま欲しい時間を、絵のなかに

制作の出発点になるのは、そのときの自分の気持ちです。友人が恋しいときは、女性たちが集まって楽しむ姿を。忙しい日々には、何もせずにくつろぐ姿を描きます。背景には、マレーシアやシンガポールでの暮らしを思い起こさせる、南国の景色をよく選びます。
絵に登場する女性たちは、孤独な時間のなかで生まれた、レイフンにとっての仲間でもあります。感染症の流行で外出を制限されていたころには、いつかまた自由に動ける日を思いながら、踊る人々を描いていました。
繰り返し登場するトラは、自分の干支に由来するモチーフ。果物は豊かさや滋養、踊る女性は自由や自己表現と結びついています。こうしたテーマは、あらかじめ決めて描くというよりも、その日の気持ちに沿って制作を重ねるうちに自然と現れてきます。
季節の色と、日々の制作

一年を通して日差しのあるマレーシアやシンガポールで暮らしてきたレイフンは、バンクーバーに移り、季節ごとの光や色の変化を意識するようになりました。夏には明るく暖かい色を、冬にはくすんだ色を選ぶなど、配色にも季節が表れます。
朝は家の近くの水辺の遊歩道を歩いてから、一日を始めます。毎週、街の中央図書館で絵の資料になる本を借り、寝る前にゆっくりとページをめくるのも習慣です。
以前は水彩を中心に描いていましたが、息子が生まれてからiPadを使うようになりました。現在はデジタルに加えて水彩やアクリルも使い、仕事や描くものに合わせて選んでいます。日々生まれる絵のなかには、完成した作品として発表するものもあれば、絵日記のように自分だけのものとして残すものもあります。
イラストレーションから広がる活動

レイフンは、街の壁面にも絵を描いています。バンクーバーの壁画祭に参加し、市から依頼された壁画や、女性の就労を支えるカフェの壁画も手がけてきました。
とくに好きな仕事は、服のパターンをデザインすること。服が気分を変えることを実感していて、自分でデザインした服を身につけることも楽しみの一つです。
自身の作品制作と依頼の仕事を並行し、キャンバスの絵や壁画、テキスタイルのパターン、雑誌の挿絵、アニメーションまで、幅広い制作に取り組んでいます。








