
Meet Chema
スケッチブックから広がる、描く楽しみ
スペイン・バルセロナ近郊の海辺の町を拠点に活動するアーティスト、イラストレーター。手足や体の形をのびのびと描いた人物と、オレンジや赤、紫などのはっきりした色づかいが特徴です。漫画や絵画、タトゥーに取り組み、出版や音楽、広告など、さまざまな分野で活動しています。
Chema Peral(チェマ・ペラル)は、スペイン・カタルーニャのビラノバ・イ・ラ・ジェルトルーで生まれ育ちました。地元の美術デザイン学校を経て、バルセロナでイラストを学び、これまでに漫画の単行本を3冊出版しています。

漫画とともに育ち、描き続ける
子どものころ、父が描いて贈ってくれた一枚の絵が、チェマの記憶に残っています。誰かから絵をもらったのは、それが初めてでした。物心ついたころから、描くことは生活の一部。今も鉛筆を好み、いつもスケッチブックを持ち歩いています。
子ども時代にはスペインのコミックを読み、その後は日本のマンガにも夢中になりました。手塚治虫も、好きな漫画家の一人です。とくに大きな影響を受けたのは、くっきりした線で描くフランス・ベルギーの漫画の画風「リーニュ・クレール」と、キュビスムでした。
学生時代には、手作りの冊子「ファンジン」をつくり、同級生に配っていました。その活動は今も続いていて、自分の小さな出版レーベルから冊子を発行しています。
音楽から生まれる物語
音楽好きのチェマは、DJやレコード収集も楽しんでいます。レコードのジャケットやイベントのフライヤーなど、音楽にまつわる依頼は、子どものように楽しんで描ける仕事です。
音楽との関わりは、漫画にもあります。2018年に出版した長編『Budapest』は、戦いに疲れた元兵士が、幸せの地とされるブダペストを目指して旅をする物語。フランスのアングレームで4か月の滞在制作に取り組み、そのあいだに聴いていたトーマス・ドルビーの曲「Budapest by Blimp」から影響を受けて生まれました。本は青いインクで印刷されています。
2024年からは、友人のDJが配信する音楽番組の表紙も担当しています。毎回登場するのは、潜水士の人物。海辺などを舞台に、音楽と結びついた場面を描いています。

スケッチブックから、キャンバスと肌へ
いつも持ち歩くスケッチブックは、チェマにとって自分を最も率直に表せるものです。そこに描いた絵を、大きなキャンバスに描き直すこともあります。色数を絞った絵画に取り組み、2023年には、街の自転車文化と日々の暮らしをテーマにしたアクリル画の展示を開きました。
紙の上では、水彩とクレヨンを組み合わせたり、墨を使ったりと、素材を変えながら描いてきました。キャンバスに向かう時間には、手を絵の具だらけにしながら、目の前の制作に集中します。
タトゥーを始めたのは、2020年の終わり。好奇心から友人に入れたことが、その後の仕事につながりました。希望する人と直接やりとりしながら、自分の絵を肌に描いていく。その仕事を通して、描くことの楽しさを改めて見つけました。イラストや漫画に打ち込んできたチェマにとって、思いがけず制作の幅が広がる経験になりました。
さまざまな分野に広がる仕事

アメリカやイギリス、スペインの新聞や雑誌に挿絵を描くほか、音楽イベントのポスターや、映画を題材にしたイラストなども手がけてきました。自身の作品をギャラリーで展示し、見に来た人と直接話す機会も設けています。
2026年には、ビールの限定商品のイラストや、スペインの省庁の広報イラストを制作。同年9月には、カタルーニャの新聞の日曜版で毎週の漫画連載も始まりました。出版や音楽、広告の仕事と並行して、絵画やタトゥー、冊子づくりにも取り組んでいます。
写真:Marc Bordons


