
Meet Henry
旅とスケッチから生まれる、色と形の世界
イギリスのチェルトナムを拠点に活動するイラストレーター。海や山の中に小さな人物を配した風景や、動物、鳥などを、端正な構図と穏やかな色づかいで描く作品が特徴です。書籍や雑誌の表紙、商品向けのイラストなど、さまざまな分野で活動しています。
Henry Rivers(ヘンリー・リバーズ)は、イギリス南岸の沖にあるワイト島で育ちました。田舎の農家で過ごした子ども時代には、動物がいつも身近にいました。絵を描くことも好きで、祖母が通う町の水彩画の会について行ったり、家で鳥やクジラをスケッチしたりしていました。

建築を学び、イラストレーションの道へ
子どものころは、絵を仕事にするとは考えていませんでした。創作を仕事にする大人が周囲に少なく、学校では数学や理科が得意だったヘンリー。美術の先生との出会いをきっかけに、絵を趣味以上のものとして考え始め、数学と美術の両方を生かせる建築の道を選びました。
ケンブリッジ大学では建築を学ぶ一方、演劇やイベントのポスター制作、写真撮影にも取り組みました。その経験を通して、美術やデザインを仕事にする道が見え、卒業するころには進路を変えることを決めていました。

数年間、本の表紙のデザイナーとして働いたあと、2015年に旅行ポスターのシリーズを始めます。建物を正確に描くことに慣れていたヘンリーにとって、街や建築をもっと自由に描いてみる試みでした。建築の知識と、デザインや旅への関心が、ここで結びつきました。
大きな風景と、小さな人物

広い海を泳ぐ人、雪山を滑るスキーヤー、海辺を自転車で走る人。ヘンリーの絵には、大きく広がる風景の中に、小さな人物が描かれています。一方で、鳥を画面いっぱいに描いたり、コーヒーカップやカクテルのグラスに人が飛び込んだりする場面もあります。
形はすっきりと整理され、海や空の青に、砂色やクリーム色、緑、赤やオレンジが組み合わされています。
影響を受けてきたのは、昔の広告やポスターです。景色を幾何学的な形と線でまとめたA. M. カッサンドルや、少数の色から多くの色合いをつくったAlain Carrierに刺激を受けてきました。その景色らしさが伝わる形や線を選び、構図を整えてきました。
スケッチを重ねて、一つの絵に

アトリエでも、カフェでも、旅先でも、ヘンリーはスケッチブックに向かいます。実際に訪れた場所で目に留まった景色だけでなく、写真で見た風景が、描き始めるきっかけになることもあります。
ヘンリーは、短い走り書きを何度も見直しながら、時間をかけて絵を仕上げてきました。最初のスケッチは数分。そこから数週間おきに描き直し、配置や色を調整しながら細部を加えていきます。最初のアイデアから完成まで、1年ほどかかることも少なくありません。
仕上げには、スケッチをパソコンで描き直し、手で描いた質感を取り込んで重ねる方法を用いてきました。現在も、手描きとデジタルを組み合わせて制作しています。
絵を届ける、さまざまな仕事

ワイト島を離れたあと、ロンドンやフランスの田舎でも暮らし、制作してきました。現在はチェルトナムを拠点に、自身の作品づくりと、依頼を受けて描くイラストの仕事に取り組んでいます。
作品が使われる場所は紙の上にとどまらず、ワインのボトルや飛行機の機内で使うワゴンにも広がっています。イラストの制作に加え、既存の作品をさまざまな製品に使うライセンスの仕事も手がけています。








