
Meet Isabelle
旅の記憶と想像から生まれる、イザベルの絵
ノルウェーのオスロとカナダのモントリオールを拠点に活動するイラストレーター。旅先や夢の中のような景色に、女性や動物が登場する作品が特徴です。自身の作品づくりに加え、文具や雑誌、パッケージなど、さまざまな分野で活動しています。
Isabelle Feliu(イザベル・フェリウ)は、カナダのケベック・シティ出身です。子どものころから絵を描くのが好きで、洋裁をしていた母に、自分でデザインした服を仕立ててもらっていました。服への関心は、その経験から育っていきました。
ファッションから、イラストレーションへ

モントリオールでファッションデザインとマーチャンダイジングを学び、ファッションデザイナーのアシスタントとしてキャリアを始めました。当時も絵を描くことは好きでしたが、それを仕事にする道は、まだ現実的には考えていませんでした。
転機になったのは、オスロへの移住です。絵に向き合う時間が増え、夢中で描き続けるうちに、少しずつイラストの依頼が届くようになりました。絵を描くことが、自分に合った仕事になると気づいた時期でした。
旅の記憶と、想像の中の景色
幼いころから旅の機会が多く、母の故郷であるホンジュラスも訪れました。そこで知った南国の景色は、のちの作品にも大きく影響しています。
イザベルが描くのは、実際に見た場所だけではありません。行ってみたい場所、してみたいこと、着てみたい服を思い浮かべ、それらを組み合わせて描いてきました。レモンの木陰で女性とチーターが寝そべったり、南国の緑の中を並んで進んだり。旅への憧れと想像が、同じ画面の中に登場します。
シチリアの海辺で過ごした午後や、モルディブの澄んだ海など、実際の旅の記憶から生まれた絵もあります。心の中の考えや夢、そうしなければ消えてしまうような一瞬を、絵として残しておくことも、描く理由の一つです。

寒い土地で見つける光と色
寒い土地で暮らしてきたイザベルは、暖かい南の場所を思い描くことが多くあります。一方で、冬ならではの景色にも目を向けてきました。真珠色に輝く雲や、静かに雪が降る夜。そうした光景も、制作の着想になっています。

光は、絵を描く時間にも関わっています。冬の日照時間が短いオスロでは、晴れるとむしろ家の中で描きたくなるほどです。離れて暮らすあいだに募ったモントリオールへの思いも、その街を絵にしたいという気持ちにつながってきました。
下描きを重ね、思い描いた場面へ

描きたい絵がはっきりと浮かぶこともありますが、たいていは写真を探すところから始めます。参考になる写真を集め、色の組み合わせを探し、何枚も下描きを重ねる。細部や構図を何度も練り直しながら、頭の中の場面を絵にしてきました。
現在の制作では、ガッシュ(不透明水彩絵の具)やマーカー、色鉛筆、コラージュを使っています。色を重ねた景色だけでなく、人物や鳥を線で描き、フランス語の言葉を添えた作品もあります。
影響を受けてきた画家には、マティスやマグリットなどがいます。イザベルにとって、絵は言葉よりも自分を表しやすい方法です。考えや気持ちを整理し、思い浮かべたものを目に見える形にするために、描くことを続けてきました。
自身の作品から、さまざまな仕事へ

イラストレーターとして歩み始めたころには、ファッションのブランドの仕事にも取り組みました。さまざまな体つきの女性が、それぞれの場面で服を楽しむ姿を描き、ファッションの気楽で楽しい面を表そうとしていました。
現在は、自身の作品を制作するかたわら、表現の方向性が合うブランドと仕事をしています。文具や雑誌、パッケージのためのイラストを手がけ、作品はZARAのTシャツにも使われています。描き下ろしに加え、既存の作品を出版物やイベントの文具などに使うライセンスの仕事も手がけています。
表紙の写真:Eva Maude TC
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